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みなさま、こんにちは。今回もビジネスアドボケートの続きをご説明しましょう。ビジネスアドボケートには、まだまだたくさんの有効な機能があるのです。
プライオリティールーティングのおさらい
まずは、プライオリティールーティングのおさらいをしましょう。
プライオリティーキューイングでは、待ち行列に並ばせるときに、トップ・高・中・低の4つのプライオリティーを付けることができる機能です。第19回ですでに紹介しています。 この機能は忙しい時間帯でも特定のサービスは、サービスレベルを落とさないで対応する場合に使用できます。しかしながら、デメリットもあります。優先順位が低いものは、なかなか応答されないという状況を生んでしまいます。
そこでこのデメリットを解消するための機能として、アドボケートにはいくつかの機能があります。マルチスキル環境では、すでに「サービスオブジェクティブ」を紹介しました。他にもいくつかあるのです。
ダイナミックキューポジション
ダイナミックキューポジションとは、その名の通りダイナミックに待ち呼(キュー)の位置を自動的に調整するといった機能です。複数の着信経路(VDN)を通りシングルスキル(1つのスキル)に着信するケースで有効なルーティングアルゴリズムです。
「サービスオブジェクティブ」では、スキルにサービス目標(目標とする応答時間)を設定しましたが、ダイナミックキューポジションでは、VDNにサービス目標を設定します。新しい呼が着信した場合、VDNに設定してあるサービス目標に基づき、他の待ち呼と比較し、待ち行列(キュー)のどのポジションに並ばせれば、目標とする応答時間を満たすことができるかを計算し、自動的に待ち行列の位置を調整します。
このようにすることで、サービス目標が低く設定されているVDNからの着信も、いつまで経っても応答されないということはなくなります。サービス目標に基づいて並び順を調整しているため、結果的にサービス目標に近づくことになります。
スキルを減らすことができる可能性も
セールスの窓口で、プラチナ・ゴールド・一般という顧客の種別よってセグメント分けされた3つの着信経路(VDN)を用意してあるフローを考えてみましょう。優先順位の差を付けたいのだが、1つのスキルで受けると、いつでも100%優先されることになってしまうので、各々スキルを設けて、エージェントの持つスキルとレベルを調整し、いつまで経っても応答されない状況をカバーしている場合があると思います。もし、顧客セグメントによって、応対を分けたいのであれば、このままでよろしいでしょう。しかし、優先順位のデメリットをカバーするために、複数スキルを設けてスキルレベルでやりくりしているのであれば、ダイナミックキューポジションを使いスキル1つに減らすことができます。スキルはできる限り少ない方が管理が楽になりますよね。また、各セグメントへの着信・応答件数の把握は、VDNレポートで参照すればよろしいですね。
コールセレクションオーバーライド (普段は優先しないけど、本当にやばいときだけ優先する)
この機能も優先順位のデメリットをカバーするために使うことのできる1つの機能です。 下の図のように、複数のスキルに待ち呼がある状況で、それらのスキルを持つエージェントがいたとします。普段は、エージェントの保持するスキルレベルや待ち時間によって、どの待ち呼が応答されるか決定されます。このような状況で、あるスキルだけ普段は優先しないけど、本当にやばいときだけ優先させることができるのです。
優先するスキルのコールセレクションオーバーライドをOnにし、規定値を設定します。あるエージェントが受付可になった瞬間に、「今まで待っている時間にプラスして、今応答されなかったら、あとどれぐらい待つかの予測時間の合計」を計算し、Override=Y(On)とあるスキルの規定が超えている場合、エージェントが持つスキルレベルに関係なく、実際の待ち時間に関係なく、その呼を優先させることができます。
従来のルーティングの常識を覆すビジネスアドボケート
従来のルーティングは、あらかじめ決められた条件によってルーティングしていました。例えば、待ち呼がx個以上だったら、最大待ち時間がxx秒以上だったら、ログイン人数がx人以上だったら、などです。
しかし、ビジネスアドボケートは、自ら知性を持ち、将来を予測し、そして、対応は自動で行うという、今までのルーティングの常識を覆す究極のルーティングだということがおわかり頂けたかと思います。ビジネスアドボケートは、きっとみなさまのセンターの収益の向上・生産性の向上・KPIを向上に貢献するでしょう。
おわりに
最後までお付き合い頂きありがとうございました。ビジネスアドボケートの素晴らしさをわかって頂けましたでしょうか?
細かいところでは、パーセントアロケーション(エージェントが複数スキルを持っているときに、予め決めた比率で、呼をハンドリングさせる)や、その他にもいくつかの機能を説明しませんでしたが、ビジネスアドボケートの全体像は伝えることができたのではと思っています。