アバイアのACD その2 -(続)スキルベースルーティングのおさらい

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アバイア プロフェッショナルサービス シニアコンサルタント 
長崎智洋

みなさま。こんにちは。まだ、少し暑さは続いていますね。みなさまはどんな夏を過ごされましたでしょうか? 「夏といえば」何を連想しますでしょうか? コンタクトセンターの夏といえば、そうです、コンタクトセンター・アワードの発表会(予選)ですね。この大会では、参加企業の方々にとっては日々の努力と成果の発表の場であり、アワードの目的である「学ぶ・競う・磨く」がまさに実践されています。みなさまの取り組みに対する姿勢、アイデア、努力には本当に頭が下がります。いつも熱気に溢れていて、今年も元気を頂きました。最終審査発表会とても楽しみにしています。 さて、今回は前回の続きでスキルベースルーティングについてのお話を続けたいと思います。
 

スキルベースルーティングになっていないコールフローとは?

前回の内容はご理解頂けましたでしょうか? それがわかっていると、“スキルベースルーティングになっていない”コールフローを見分けることができるでしょう。せっかく弊社のPBXをお使いであれば、スキルベースルーティングを正しく使って頂きたいと思います。

以下のフローを見てください。これは良くないフローなのですが、どこが良くないのでしょうか?

 

悪いコールフロー
 

スキルベースルーティングの基本は、個人のエージェントの持つスキルに基づいて呼を振ることです。つまり、ある内容の電話をエージェントに振るか振らないかは、エージェント側のスキルの付け替えでコントロールします。しかし、上のフローは、フロー側で着信をコントロールしています。昔のACDは、エージェントが複数のグループに所属できないため、このようにせざるを得ませんでした。しかしそれは昔の話です。発想の転換が必要です。
具体的に説明すると、(1)のエージェントは、注文スキルしか持っていません。しかし、問合せスキルの電話が溢れたときに、必ず(1)のエージェントにオーバーフローして来ます。
仮に注文しか対応できないエージェントがいるとすると、これでは問合せの電話も入ってしまうという困った状況を引き起こしてしまいます。しかもこのフローはお互いにバックアップし合っているので、(2)のエージェントにも同じことが言えます。

また、統計もおかしくなってしまいます。注文スキルは、問合せスキルの溢れ呼も応答しているので、注文と問合せが混ざった統計になってしまいますね。スキルごとの応答件数、通話時間や後処理時間を分析に支障をきたします。

このフローをスキルベースルーティングにするためには、以下のようなフローにすることです。 。

 

このように改善すればよい
 

大切なことは、どこに着信させるかはエージェント側のスキルの付け替えでコントロールすることです。それがその名の通りスキルベースルーティングなのです。
 

コールフローの全体像とスキルセットの把握

コンタクトセンターは生き物のように変化します。新しい窓口を開いたり、統合したり、廃止したり、コールフローやスキルはすぐに古くなってしまいます。はじめは細かくスキルを分けていたとしても、何年かすると新人を含め全員が同じ数のスキルを持っているというケースがあります。したがって、効率的に管理するためにも、スキルはときどき見直す必要があるのです。
新しくセンターをデザインするとき、また、スキルやコールフローを見直すとき、やるべきことを説明しましょう。それは、フロー全体を俯瞰して見ること、つまり、コールフローの「見える化」を行うことです。また、それと同時にどのようなスキルセットがあるのかを把握することです。スキルセットとは、エージェントが持つスキルを束ねたものと考えるとよいでしょう。あらかじめエージェントのタイプのよって、持つべきスキルを定義しておくと管理がしやすくなります。例えば、3ヶ月研修を終わった新人さんの持つべきスキルをワンセットとして、また、半年研修が終了したエージェントさんが持つべきスキルをワンセットとして、エージェントのタイプごとにスキルセットを考えておきます。スキルベースルーティングは、個人ごとに管理できるからと言って、ちょこちょこ設定を変更していては効率が下がってしまいます。タイプ別に束ねて考えると効率が上がります。

全体を把握するために以下のような図を作ってみるとよいでしょう。
 

コールフローの見える化とスキルセットの把握
 

陥りがちなのが、数値を取るためにフローやスキルを複雑にしてしまうことです。数値を取りたいのはわかるのですが、逆にレポートを作成するのに時間がかかるようになってしまいます。前に言いましたが、複雑にするのは簡単です。以下にシンプルにするのかに知恵を絞りましょう。

センターをデザインする場合は、このような図を描いて全体を俯瞰的に眺め、フローとスキルセットのゆがみがないかどうか、VDNやスキルはまとめることができないか、逆に分けた方がよいか、バックアップの体制は取れるか、トレーニングの計画とスキルのアサインはリンクが取れるか、さまざまなことを検証しながらデザインを行います。

ヒント:スキルの一括変更(エージェントのテンプレートを準備する)

CMS Supervisorでスキルを変更するときに、テンプレートのエージェントを用意しておくと効率を上げることができます。
スキル変更の画面を開くと、複数の場合はテンプレートを選択して下さいと書いてあります。

テンプレートの選択

あらかじめエージェントさんのタイプ毎に、事前に割り当てるべきスキルを持ったエージェントIDをテンプレートとして準備しておきます。
研修が終了したとき、緊急のスキルの付け替えなどで設定がずれたのを戻す場合に便利です。一度に最大50エージェントまでスキルを変更することができます。

エージェントスキルの変更

 

転送用のVDNを用意する

フローの全体像を考えるとき、転送用のVDNを用意するかどうかを検討しましょう。センターでは、なるべく個人の転送はないに越したことがありません。しかしながら、転送は避けることができないでしょう。その場合、転送用のVDNを用意し個人の転送をなるべくやめ、グループ転送を推奨するのが第一段階かと思います。
VDNが増えてしまうというデメリットはありますが、転送用のVDNを用意すると、何件転送されているのかを簡単に把握することができるようになります。また、センターによっては、「5回呼び出して、出なければ折り返し対応をする」といった転送時のルールを作成し運用している場合があるかと思います。この場合、エージェントも電話を架けて来たお客様も待つことになります。
転送用のVDNを用意すれば、そこにフローを定義することができます。例えば、空きがなければ、音楽やアナウンス、ビジーを返すとかができます。また、待ち呼の数や空きの人数などの条件によって対応を変える、また、転送の場合は優先順位を上げてキューイングするなどできます。
そして、転送用のVDNを用意するのであれば、空きがいないときに、フロー側で呼び出し音を設定するのはお奨めしません。転送先の電話機を呼んでいるのか、それとも、待ち呼に入っているのかの判断が付かないからです。
 

内部転送用のコールフローに気を遣うエージェントからエージェントへのグループ転送
 

ヒント:転送をする前に、転送先の状況を把握せよ

11回の「今さらですがCTIを使いたい!」で、ソフトフォンの機能についてお話をしました。この中で、転送先のプレゼンス情報を表示する機能を紹介しています。これを使うと、転送をする前に、転送先の状況が把握できるため、スムーズにお客様を誘導することができます。

 

おわりに

最後までお付き合い頂きありがとうございます。お楽しみ頂けたでしょうか? 今回のお話は、弊社のPBXに限ったことではないので、スキルベースルーティングをお使いの方には、応用できるかと思います。 みなさまのコールフローはどのようになっていますでしょうか? これを機会に自社のフローがどうなっているのか、見直してみるのは如何でしょうか? それでは次回もお楽しみ下さい。

第19回

アバイアのACD その3 - どのようなルールで着信させる?