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みなさま、こんにちは。今回は「CMSの謎を解け」というテーマで、かなりDeepに行きたいと思います。どこまでご理解頂けるか私にもちょっとした挑戦になります。ヘビーユーザーさま向けの内容になってしまうかと思いますが、わかりやすく説明したいと思います。
「ACD呼×平均後処理(ACW)時間≠合計後処理(ACW)時間」の理由
まずは、下の「エージェントサマリー(インターバル/時間帯)」レポートを見て下さい。
10:30台を見ると、ACD呼=2件、平均後処理時間=9秒です。したがって、合計の後処理時間は、計算上、2×9=18秒のはずですね。しかしながら、レポート右側の合計の後処理時間は1分33秒となっています。その何故?に迫ってみましょう。 結論から申し上げます。理由は2つあり、1つ目の理由は、以下になります。
Deepに行きたい方のために、きっちり説明しましょう。 このレポートを表示している状態で、「F1」キーを押すと、今まさに見ているレポートに関するヘルプが開きます。そこで、「エージェントサマリーレポートの説明」をクリックすると、レポートの項目の説明を参照することができます。そこで、平均後処理(ACW)時間と後処理(ACW)時間の説明を見てみましょう。
ヘルプの後処理時間の説明:
うーん。これだけでは謎が解けない。。。 ここでわかったのは、平均後処理時間は、「TOTAL_ACWTIME」の合計を使って平均を計算しているのに対し、後処理時間は、「I_ACWTIME」の合計を使っているということです。 * とりあえず、ダイレクトエージェント呼については、無視しておきましょう。あまり使われておりませんので。ここでは、エージェントIDに架電したときに、それを内線通話ではなく、ACD呼と扱う機能だとご理解下さい。その呼をダイレクトエージェント呼と呼んで、この呼を受けたあとの後処理時間ということになります。 * 数式にsum(集計関数)が使われる理由は、また次の機会にでもご紹介しましょう。
データベース項目と計算式
そこで、「TOTAL_ACWTIME」と「I_ACWTIME」を調べてみましょう。これらについては、「データベース項目、計算式、または計算式名」と記載されています。すなわち、これらは、データベース項目か計算式のどちらかを表しています。 CMSのレポートの中で、最小の単位(レポート項目)がデータベース項目になります。データベース項目をあらかじめ足したり・引いたり・掛けたり・割ったりしているのが、計算式となります。計算式を使うことで、レポート作成時に長い式を書く必要がなくなりますし、分かりやすくなります。 ここで、「I_ACWTIME」はデータベース項目で、「TOTAL_ACWTIME」は計算式となります。何がデータベース項目で、何が計算式なのかは、はじめはわかりにくいと思いますが、データの項目そのものを説明しているのに対し、計算式は、TOTAL(合計)、AVG(平均)、PERCENT(パーセント)などが名前になっているので、比較的分かりやすいかと思います。 では、CMSのヘルプの上のボタンに、「データベース項目」、「計算式」というものがあるので、1つ1つ見ていきましょう。
まずは、計算式を調べて見よう
ではまず、「TOTAL_ACWTIME」ですが、これはTOTALがあるので計算式です。そこで、ヘルプの計算式ボタンを押して下さい。そして、Ctrl+Fキーで検索ダイアログを出して、「TOTAL_ACWTIME」と入力し、検索して下さい。「次を検索」で何回か検索し、計算式名が「TOTAL_ACWTIME」となっているものが、この計算式の説明となります。
TOTAL_ACWTIME=(ACWTIME+DA_ACWTIME)というのがわかります。 名前から想像できるかと思いますが、ACWTIMEは後処理時間ですね。DA_ACWTIMEは、ダイレクトエージェント呼を受けたあとの後処理時間になります。 ちょっと待てよ、平均後処理時間は、「ACWTIME」をベースに計算されているのに対し、合計後処理時間は、「I_ACWTIME」をベースに計算されている。何かが違うはずだ。 ということで、今度は、データベース項目を調べてみましょう。
データベース項目を調べて見よう
今度は、ヘルプのデータベース項目というボタンを押して、「ACWTIME」と「I_ACWTIME」を調べてみましょう。また、Ctrl+Fキーで検索ダイアログを使って検索すれば素早くたどり着けますね。 すると、「データベーステーブル」というものが出てきますが、今回はエージェントのレポートについて見ているので、「エージェントテーブル」を選択します。
ACWTIME データベーステーブル ACWTIME項目は次のデータベーステーブルに格納されます。 スプリット/スキルテーブル エージェントテーブル 呼に関連するACWの間に受信または発信されたACWINTIMEとACWOUTCALLを含み、 ACDCALLSに関連したすべての後処理の継続時間です。
I_ACWTIME データベーステーブル(Database tables) I_ACWTIME項目は次のデータベーステーブルに格納されています。
エージェントテーブル
上の二つの違いがわかりましたでしょうか? 「ACWTIME」は、ACD呼に関連する後処理時間のみの統計で、エージェントさんが自分自身で後処理ボタンを押して後処理モードに遷移した後処理時間は含んでいません。一方、「I_ACWTIME」は、ACD呼に関連しない後処理時間を含みます。つまり、後処理ボタンを押して後処理になった時間を含んでいるのです。 これを私になりに解釈するとこうなります。 正確な平均の後処理時間を計算するためには、ACD呼に関連する後処理時間だけで平均の後処理時間を求めるべきですよね。したがって、「ACWTIME」を使っています。一方、合計の後処理時間は、そのエージェントが後処理を行っていたすべての時間となるため、エージェントさんが後処理ボタンを押した時間も含んでいます。
ヒント:
マルチスキル環境(エージェントさんが複数のスキルを持っている)の場合、後処理ボタンを押したときの後処理時間は、エージェントさんのトップスキル(1番上に登録されているスキル)に統計されます。マルチスキル環境のレポートについては、次回説明したいと思っています。
さて、これが「ACD呼×平均後処理(ACW)時間≠合計後処理(ACW)時間」の理由の1つになります。ですが、もう1つ理由があるのです!?
「ACD呼×平均後処理時間≠合計後処理時間」のもう1つの理由
頑張ってもう1つの理由に迫ってみましょう。次のレポートを見て下さい。
上段の行は、ACD呼が0件で平均後処理時間がないのに、(合計)後処理時間が存在しています。下段の行は、1×6:58≠1:42となってしまっています。 なぜならば、以下の違いがあるからです。
では説明しましょう。まず、CMSの統計のタイミングの大前提は後処理が終了してからとなり、後処理が終了したインターバルに統計されます。 図では、10:30台にACD呼を受けて後処理になり、次のインターバルの11:00台になって後処理を終了しました。すると、ACD呼は11:00台に1件と統計されます。ACWTIMEはACD呼に関連する値ですので、11:00台に統計されます。ここでは、10:30台に10分、11:00台に15分なので、ACWTIMEは10+15=25分になるわけです。一方、I_ACWTIMEは、ACD呼とは関係なく、そのときの状態を統計するので、10:30台に10分、11:00台に15分となります。 ACWTIMEとI_ACWIMEの違いがわかりになりましたでしょうか?ちなみに、通話時間を表すACDTIMEとI_ACDTIMEにも同様の違いがあります。 そして、エージェントレポートだけでなく、スキルレポートにも同じ違いがあります。このレポートは、あるスキルを切り口にしていますが、中身はエージェントテーブルの情報を表示しています。
ACWTIMEとI_ACWTIMEの違いをまとめると、以下になります。
① 右側の後処理時間(I_ACWTIME)は、エージェントさんが後処理ボタンを押した 後処理時間を含んでいる ② 平均後処理時間を計算しているACWTIMEはACD呼に関連して、 後処理終了時のインターバルに統計される。一方、I_ACWTIMEは、 その状態のインターバルに統計される。
おわりに
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。かなりDeepになってしまいましたが、おわかりになりましたでしょうか? 本当はもっと色々書きたかったのですが、詳しく説明をするうちに長くなってしまい途中で断念しました。ということで、続きは次回以降に譲りたいと思います。 それでは、次回もお楽しみ下さい。
第15回
CMSの謎を解け -その2