アバイアのACD その3 - どのようなルールで着信させる?

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アバイア プロフェッショナルサービス シニアコンサルタント 
長崎智洋

みなさま。こんにちは。行ってきましたコンタクトセンターアワードの最終審査会。アウトソース/ ヘルプデスク部門賞のプレゼンターとしてトロフィーを渡させて頂きました。受賞企業のみなさま、本当におめでとうございます。受賞されたみなさまはもちろんのこと、おしくも受賞されなかったみなさまの発表も含め、とても感銘を受けました。また、発表の内容は、参加者の方々にとっても大変有効な知識・ヒントになることでしょう。
さて、今回は前回に引き続きアバイアのACDについて書きたいと思います。「入ってきた呼をどのようなルールで着信させるのか?」という基本的なことです。しかしながら、実は知らなかったという発見があるかもしれません。そんな驚きがいくつ発見できるでしょうか。 着信のルールは、設定によって色々と変わります。正しく知って、正しく使いましょう。 それではまずこのトピックからです。
 

プライオリティーキューイング

スキルへキューイングする(待ち行列に並ばせる)ときに、「低・中・高・トップ」の4段階のプライオリティ(優先順位)をつけることができます。すでに待ち呼がたくさんある場合でも、あとからより高い優先順位の待ち呼が発生すると、待ち行列の1番先頭に並ばせることができます。この機能は、VIP用の回線などで忙しいときでもサービスレベルを落としたくない場合に使用します。

 

プライオリティ・キューイング
 

ただ、注意したいのは、必ず優先されてしまうという点です。スキルレベルを有効にした場合、同じスキルレベルに「優先度:高」と「優先度:中」の待ち呼があった場合、必ず「優先度:高」の呼が優先され、いつまでたっても「優先度:中」の待ち呼が応答されない状況を作ってしまうかもしれません。

呼のプライオリティーは、スキルレベルと密接に関係しています。
のちほど「呼分配・着信のルール」のところで詳しく説明しましょう。
 

スキルレベルについて

スキルレベルとは、エージェントに割り当てるスキルに16段階のレベルを付けることができ着信の優先順位を決定します。その業務(スキル)に詳しいとか熟知している意味でのスキルのレベルではありません。

具体的な例で説明しましょう。 あるスキルを持っているエージェントがたくさんいて全員受付可(空き)状態でした。このときにそのスキルに着信がありました。 この呼は、そのスキルのレベル1エージェントの中から空き時間の長いエージェントに着信します。レベル1の空きエージェントがいない場合、レベル2のエージェントの中で空き時間の長いエージェントに着信します。

 

スキルレベル
 

例えば、メインのスキルは高いレベルで、サブやバックアップのスキルは低いレベルで持たせることで、通常はメインのスキルを優先することができるようになります。 また、みんなレベル2でアサインして、OJTなどで特定のエージェントに優先して着信させたいときは、レベルを1でアサインするなどの使い方ができます。
 

呼分配・着信のルール

みなさんのセンターでは、エージェントはたくさんのスキルを色々なレベルで持っていて、フロー側でプライオリティーが色々と付いているかもしれません。
次ぎのような状況ではどうなっているのでしょうか?
空きエージェントがたくさんいます。次に入ってくる電話は、誰に着信するのでしょうか?
また、さまざまなスキルに待ち呼が発生しています。今現在待ち呼があるスキルを複数持っているエージェントが受付可にすると、いったいどの呼が応答されるのでしょうか?
状況を整理しましょう。 着信ルールを考えると、2つの状況にわけることができます。
1つめは、受付可のエージェントがたくさんいる状態、英語だとAgent Surplus状態です。
2つめは、待ち呼がたくさんある状態、英語だとCall Surplusな状態です。

Agent Surplusの場合には、「Agent Selection Method(エージェントの選択方式)」という方式が用いられます。
そして、Call Surplusの場合に、「Call Selection Method(呼の選択方式)」という方式が用いられます。
 

Call and Agent Selection Method-呼とエージェントの選択方式
 

「Agent Selection Method」とは、受け付けることができる応答可状態のエージェントが複数いた場合に、「どんな条件で」、その着信を接続すべきエージェントを決定するかの考え方・仕組みのことです。

「Call Selection Method」とは、複数のスキルに待ち呼がたくさんあって、お待たせ状態になっている。このとき、1人のエージェントが空き(受付可)になったとき、どの待ち呼を、その空いたエージェントをつなぐか、という方式のことです。

それでは1つ1つ見ていきましょう。
 

Agent Selection Method-エージェント選択方式

Agent Selection Methodをわかりやすく表にすると以下のようになります。
 

Agent Selection Method Agent Surplusな状態
 

どのエージェントに着信するのか?それは、コール分配設定によって異なります。コール分配設定は、スキル毎に設定することができます。これは、PBX側の設定となり、エンドユーザーさんが直接変更できないかもしれません。上の表の右側のUCDは、レベルに関係なく振られてしまうので、おそらくEADが使用されます。その中でも、いちばん一般的なのは、「EAD-MIA」になるかと思います。EAD-MIAでは、「最もスキルレベルが高く、もっとも空き時間が長いエージェント」に接続されます。最近では、EAD-LOAも使われるようになっていることでしょう。LOAについてはのちほど説明しましょう。

Agent Selection Methodは、結構簡単ですね。
 

Call Selection Method-待ち呼の選択方式

Call Selection Methodをわかりやすく表にすると以下のようになります。
 

Call Selection Method Call Surplusな状態

 

EAD-MIAが一般的ですので、こちらを見ていきましょう。どの呼が着信するかは、同じEAD-MIAでもコールハンドリング設定により異なります。コールハンドリング設定は、「スキルレベル」がデフォルトなので、おそらくこちらが一番使われているはずです。この場合、まず、レベルが優先されます。レベルが高いスキルに待ち呼があるかの判定が1番先にきます。そして、その一番高いレベルの待ち呼の中で、プライオリティーが高い呼、そして、同じプライオリティーに待ち呼があれば、もっとも長い待ち時間の呼が着信します。

 

コールハンドリング設定で「最大ニーズ」にすると、スキルレベルの判定が無視され、レベルに関係なくプライオリティーの高い待ち呼が優先されます。

待ち呼がたくさんある状況、つまり、混んでいる状況でも、スキルレベルを優先した着信にしたい場合は、「スキルレベル」を使用します。混んでいるときは、レベルを無視して着信させたい場合は、「最大ニーズ」を使用します。

コールハンドリング設定は、スキル変更画面から変更することができます。つまり、この設定はエージェント個人毎に変更することが可能です。
 

エージェントスキルの変更
 

おわかりになりましたでしょうか?

 

LOA(Least Occupied Agent:一番稼働率の低いエージェント)

では次に、コール分配設定のEAD-LOAのLOAについて説明しましょう。 LOAは、Least Occupied Agentの略で、訳すと一番稼働率の低いエージェントとなります。

マルチスキル環境の場合、どうしてもスキルをたくさん持っているエージェントに呼が集中してしまいます。これをホットシート(Hot Seat)と言います。優秀なエージェントほど、ホットシートになり、燃え尽き症候群に陥ってしまう可能性が高まります。これでは困ってしまいますね。

アバイアのACDには、エージェントを守る機能も備わっています。「一番空き時間が長い」ではなく「一番稼働率が低い(Least Occupied Agent)」エージェントに電話を振ることができるのです。
 

稼働割合によるエージェント選択: Least Occupied Agent
 

LOAを用いて稼働率が低い方から着信させれば、マルチエージェントの稼働率が下がり、シングルエージェントの稼働率が上がり、均等な稼働率に近づけることができるようになります。そのため、ホットシートを解消できるようになるでしょう。
なお、後処理時間を稼働率の計算に加えるか加えないかは、システムパラメーター(システム全体の設定)で行うことができます。

LOAで気をつけなければいけないのは、稼働率で振るため通話(後処理)時間の長・短により件数にばらつきが出てくるということです。
また、「空き時間が一番長い」であれば、エージェントさんにとっては周りの状況から「そろそろ自分の順番では?」という心の準備ができたと思います。
しかしならが、一番低い稼働率とすると、空き時間が長い順番ではなくなるので、これが読めなくなる可能性が出てきます。この辺は、この着信ルールの周知と徹底が必要になるでしょう。
 

おわりに

最後までお付き合い頂きありがとうございました。今回もお楽しみ頂けましたでしょうか?
大切なことは、プライオリティーやスキルレベルは優先順位をつけるのにとても便利な機能ですが、歪んだ設定になっていると、偏りが出てきてしまう可能性があるということです。機械は正直ですのでレベルが間違っていると人間からみると間違っている方法で呼を振ってしまいます。設計が悪くても同じことが言えるでしょう。

また、優先順位は、着信の差をつけることに有効ですが、常に差をつけられては困るという状況があります。VIP回線を優先した場合、一般回線の待ち呼がいつまでたっても応答されないというケースを引き起こしてしまう場合があるかもしれません。こんなことを聞いたことがあります。「3回に1回ぐらいは一般回線を優先してくれないかな~」。1つの解としては、スキルレベルを調整し、VIP回線より一般回線の方がレベルの高いエージェントをおく必要があるでしょう。
実は、もう1つの方法があるのです。アバイアのACDにはものすごい機能があるのです。アバイアのすごさに私自身が感動したので、次回は「感動のルーティング」と題してお届けしましょう。
それでは次回もお楽しみ下さい。

第20回

アバイアのACD その4
- 究極のルーティング Avaya Business Advocate ①